2018アイアンマン世界選手権①ー早くも佳境。

      2018/10/26

 10/8 13:00(日本時間)

 

入んのか、これ・・・?入ったとしてその後どうすんだ・・・?

 

ハワイへの出発を1時間後に控えて、焦っていた。トライアスロンは荷物の多いスポーツである。まず、やることが3つもある時点で、競技関係の荷物が3倍だ。スイムとラン、この2つはいい。並だ。バイク、こいつが大物なのである。まず、デカい。フレームって折りたためないらしい。次に意外と繊細。カーボンは衝撃の方向によってはすぐ折れてしまう。最後に、付属品が多い。渡航先で組み立て直すために、金属製の工具を何種類も持っていかなくてはならない。

これだけの量と重さのある荷物を、9日間の日用品や一部の食料と併せて、三辺203cm・重量23kg以内のに収めるとなると、結構苦労する。預けられる荷物は2つまでなので、これまではシーコンとスーツケースという組み合わせだったり、借り物のバイクボックスとスーツケースという組み合わせだったりした。しかし、シーコンやらバイクボックスは規定の203cmを超えてしまう。残念なことにその結果、超過料金がお財布をお襲うこともあった。

小耳に挟んだところによると、世の中には203cmきっかりに作ってるバイクケースというものがあるらしい。そこで今回は思い切った新しいことを試してみた。

3辺203cmの箱を2つ使うことにした。1つはバイクケースとして、もう1つはスーツケースとして使うのである。JALのHPによれば、「預け荷物は2つまで」「荷物1つあたりの上限は3辺合計203cm以内、重さ23kg以内」ということだ。だったら最大サイズの荷物を2つ預かってもらえるはずだ。

これによって、持っていける荷物の幅は、大きく広がった。普段の遠征では絶対に持参できない、スペアホイールを入れる余裕さえある。工具も、簡易版ではなく通常サイズのものを入れられる。フロアポンプだってラクラク収納可能。

そして、自家用車で空港リムジンバスの始発駅まで荷物を運ぶ段になって、気がついた。

 

「やべえ、車のトランクに立てられねえ・・・」

 

縦には入らず、渾身の横積み。そして後部座席にはバイクが居座ることになった。

駐車場に着いてからは、複数人がかりで、バスの停留所まで辿り着く。配車係の人に嫌な顔をされながら、なんとかバスには積み込めた。空港でバスを降りてからは、まずカート置き場に直行。203cmの箱を2つ乗せる。入り口の扉のサイズはかなりギリギリだが、何とか通り抜けられた。ふう。

 

18:00

空港で今回のチームメイト達と合流する。空港でしばらく待つと、見慣れたシルエットが向こうに見えた。たぶん50m先からでも確認できる。

去年に引き続き、今回の遠征もコーディネートしてくれる谷本先生である。

昨年の反省を活かして、レンタカーやらコンドミニアムやらといった手配を一手に引き受けてくれた。去年みたくレンタカーでボッタクられる心配はないらしい。安心。

もうしばらく待つと、2人目のチームメイトが現れた。篠原知美さん。通称ともみん。ご自身もトライアスリートで、今回は主に食事に関するあれこれを引き受けて下さった。アレルギーや食の趣向に合わせたメニューを提供してくれる。昨年のことを思い返すと、食材の準備・調理・片付けにかなりの時間を割いてしまった。選手3人を含む4人がかりで、食器洗いと翌日の下ごしらえを分担したものだ。楽しかったのは確かなのだが、時間をとられてしまったものまた事実である。

順番が前後してしまうのだが、遠征中、彼女はこのような食事を準備してくれた。

品目の多さ、栄養のバランスがとれているであろうことが、素人目にもよく分かる。そして、何よりも驚かされたのは、準備の速さである。何も彼女は、コンドミニアムに引きこもりっきりで食事の準備をしてくれていたわけではない。遠征中は、よほどのことがない限り、4人で行動していた。スーパーで買い物をし、エキスポで各メーカーの新作アイテムを眺め、アイアンマンストアで土産物を買い、一部はさらに土産物を買い・・・(以下無限ループ)。同じタイミングで帰宿したはずなのに、30分後には美味しそうな料理が湯けむりをあげて出来上がっているのだ。何なら、昼寝する野郎連中を尻目に、1人ジョグに出かけていたらしい。恐るべし。

その秘密はどこにあるのかと思って、聞いてみた。

 

佐相「準備、速くないですか?」

ともみん「野菜をオーブンで調理するときには、シリコンスチーマーでの加熱や下茹でをしてから。あとは食材のカットや下味付けなど、下準備を完璧にして、さらに無駄のない動線まで考えて調理しています。」

「CA時代の、機内の限られた空間と時間での作業経験が生きています。基本的に調理時間は40分くらいでした」

「朝は、朝食の1時間前に起床して、15分後にはキッチンに立つようにしていました。動線も無駄のないように」

「今回は火加減、フライパンの温まりがよくなくて、かなり苦戦しました。冷蔵庫故障により、スーパーまでジョグって必要なものを買いに行ったりもしました。毎日、次の食事の準備が終わり、出発までの隙間時間の40分で、20分ジョグし、残りの20分でシャワー&着替えをしてました。」

「江戸っ子でせっかちなんですかね(笑)」

それは効率的っていうんでしょう。来年から一人暮らしの身として、学ぶべきものが詰まりすぎている気がする。

コーディネーターの谷本先生に言わせれば、短い時間で他種類の品目を用意できる手際の良さ、そして選手の立場を理解できること、この2点を期待して彼女に声をかけたということだ。ちなみに年齢は27歳らしい。この件について当ブログでは一切の異論や反論を受け付けない。

 

そして3人目は間もなく現れた。

エース栗原。今年4月のアイアンマン70.3Linzouでスロットを獲得し、2度目のコナに参戦する。70.3での権利獲得には賛否両論あるが、到底予選とは思えないようなハイレベルのレースが展開されていることは間違いない。

 

エース「俺らの年代だと、ラン21kmを84分(4分/km)で走れて”普通”、80分で走れて”速い”って感じなんだよね

 

速すぎ。

肝心のチェックインへ。ちゃんと実寸203cmなのかとか、重さが収まっているのかとか、バラバラ死体になるんじゃないかとか、いろんな不安が頭をよぎる。

 

グランドスタッフの人「205cm、23.1kg」

佐相「・・・」

グランドスタッフの人「204cm、23.2kg」

佐相「・・・」

グランドスタッフの人「それではこちらにサインを」

 

彼女が指さしたのは、荷物の免責事項欄。ありがとうございます。次回の遠征もJALで行きます。

 

グランドスタッフの人「それではX線検査に」

 

いかん、まだ大事なイベントがあった。

カートで運ばれたバイクケースはベルトコンベアの上に乗せられる。X線検査のトンネルの高さとバイクケースの高さは、傍から見る限りほぼ同じだ。おい、頼むからもう少し縮んでくれ。君の解体ショーをやるわけにはいかないんだ。頼む・・・。

祈るような気持ちで見つめていると、あっけなくバイクケースはトンネルの入り口を通過した。

 

検査官「オッケーでーす」

 

安堵。

4人で空港内の中華料理店に入り、空腹を満たす。

それにしても、まだ空港に着いて荷物を預けただけなのに、大仕事を終えたような気がする。大丈夫なのか?

 

続く

 - 2018アイアンマン世界選手権