きさとらと99T、千葉を股にかける戦い②ーよりによってあいつ。

   

6:30
木更津駐屯地の開門を待つ長い列の最後尾に並ぶ。気温は既に25度を超えているだろうか。汗が滝のように流れてくる。
天気予報と寸分違わない、雲ひとつない晴天である。昨日の競技説明会では、こんなアナウンスがあった。
「日を遮るもののない滑走路は、特に高温になります。隊員によれば、暑い日には目玉焼きが焼けるようです。地面に近いほど暑くなります。小さいお子さんを連れての応援には注意してください。熱中症と脱水症状には気を付けましょう」
目玉焼きwww
「気温」とは、「風通しのよい日陰の空気の温度」である。確か小学校の教科書に書いてあった。同じ気温35度でも、照り返しの強いコースではどうなってしまうのだろうか。戦々恐々とする。
7:30
同期の学生延長組の若菜、片桐、レジェンドの健成さんとも合流する。
片桐は、平日深夜に帰宅してからローラーに乗り、翌朝も早くに出勤しているらしい。健成さんは仙台からの参戦だ。当然、レース後には300kmのドライブが待っている。若菜は週3で泳いでいるらしい。みんな超人だ。
8:00
無事にセッティングを済ませ、Hi-ridgeウェットスーツを手にもって試泳に向かう。気温は既に30度を超えているだろう。汗が止まらない。ウェットスーツは、入水の直前に着ることにした。
ウェットスーツを着て入水して驚く。暑い。水温が高いのだ。プールと同じくらいだろうか。試泳では100mくらいのコースを一周するのだが、あえて進まずにプカプカと浮く。泳げば身体が発熱して暑い、陸に上がれば太陽に焼かれる、水に浮かんで、ウェットスーツの中に水を入れるのが良さそうだ。
この頃、バイクとランの短縮が発表されていたらしい。40kmのバイクは26.6kmに、10kmのランは5kmに変更された。
8:20
試泳が打ち切られ、全員が上陸させられる。スタートの9:00まではまだ時間があるので、ウェットスーツを着たままだと身体が煮えてしまう。一旦脱いで、手に持って日陰に入る。
8:50
10分後のスタートに備えて、前列の外側に並ぶ。フローティングスタートなので、スタートホーンを待つ間、ウェットスーツに海水をいれる。冷たくはないが、幾分マシといったところだ。
スイム:1.5km
号砲が鳴って、一斉にスタート。エリートレースで活躍する選手もエントリーしていたので、無闇に前を追うのではなく、自分と同じくらいの泳力の集団を探す。1周目の半分辺り、400mくらいになると、探していた集団に出会えた。想定よりすこし速いペースだけど、後ろについて泳ぐ分には特に問題ない。
しかし順調だったのはここまでで、次第に身体が熱くなってくる。熱の逃げ場がないのだ。みんなも同じフルスーツのはずなのに、自分だけはお風呂で泳いでいるんじゃないかってくらい熱く感じる。
1周目が終わる頃には、既に例の集団をとうに見送り、まずは陸に上がって身体を冷やすことばかり考えていた。途中の上陸はないので、残り750mを泳ぎ切らなくてはいけない。「大丈夫、沼津ではバイクの序盤で回復できた」と言い聞かせて何とか泳ぎきる。
バイク:26.6km
命からがら陸に上がる。まずはウェットスーツを脱ぐ。それからカーペットを走る。走るというか早歩き。たぶんひどい顔してる。マネージャーの声が聞こえる。
「若菜1分半!」
衝撃的だった。まさか1分半も差がついているとは。横浜では、10秒足らずの僅差だったはず。それが1分半。若菜、恐るべし。
バイクにたどり着いて、水分を補給する。バイクを押しながら歩いて乗車ラインへ。乗って漕ぎ出すが、イマイチ、力が入らない。身体を冷やさなくてはいけないので、ボトルの水を身体にかける。パワージェルのレッドフルーツパンチとトップスピードで、スイムで使ったエネルギーを回復する。身体が冷えてエネルギーが身体にまわれば、きっとパフォーマンスは回復する。できることをやってじっと待つしかない。
しかし必死の我慢も空しく、身体には力が入らずじまい。ボトル2本分積んでいたはずのドリンク類も、あっという間になくなってしまった。こりゃあかん、熱中症だ。
40km換算でトップ選手に5分の差をつけられてバイク終了。何よりもこの脱水症状である。26.6kmに短縮してくれて本当によかった。

10kmごとのNPは188w-194w-183w。まるでロングのレースみたいだ。

ラン
こちらも短縮され、5kmになる。片道1.25kmの対面コースを2往復する。Cloudrushを履いて走り出すと、力は入りづらいが、少ないパワーでもしっかり前に進んでくれるのを感じる。折り返して返ってくる若菜に会い、そういえば自分より前にいたことを思い出す。
佐相「」
若菜「」
あいつもツラいんだろう。顎が上がっていて、足は上がっていない。本来は逆だ。
折り返すと、今度は片桐とすれ違う。
片桐「ファイットー」
佐相「ファイットー(小声)」
もしかしたら、一番元気なのは片桐かもしれない。
エイドでは毎回たち止まり、しっかり身体を冷やしてから再スタートする。ショートのレースで、エイドで立ち止まるのは初めてだ。タイムロスは大きいだろうが、レース後のダメージを考えたらこうするのがよいだろう。

Garminで取得したデータを見てみると、特に前半は心拍を上げることのできない状態であったと思われる。2000m~4000mの間はペースが上がっやや復調したと思われるけど、この心拍数の上がり方ではモタないだろう。最後の力を振り絞っているといったところなのだろうか。

苦しい道のりだったが終わりが近づいてくる。周回コースを離れてフィニッシュに向かう。残り400m、学生数名の集団に追い付く。残りの力を振り絞って、振りきる。カーブを曲がると、もうフィニッシュゲートがあるはずだ…。
カーブを曲がると、前に選手がもう一人。こっちの方が速く走っているが、残り距離を考えたらもう追い付けないだろう。どこか見覚えのあるウェアとシルエットのように感じる。そしてアナウンスが。
MC「レース番号113番、若菜和彦選手、いまフィニッシュ!」
背中が見えていた選手は若菜だったらしい。なんたる偶然。よりによってお前なのか感。
片桐も無事フィニッシュして記念撮影。
終わってみれば、総合17位、年代10位という惨敗っぷり。24ヶ月周期で訪れるやらかしレースとなってしまった。

 - 2018きさとら99T